2014年5月19日月曜日

国境までの歩行禅:ウクライナ・スロヴァキア国境(ハプスブルグの面影を求めて:その12)

ウージュホロドのバスターミナル

バスターミナルから国境越えルート予想図




 ウージュホロド(Ужгород)のバスターミナルに12:20に到着、市内バスを探しそうとした所で目つきの鋭い人にロシア語かウクライナ語で声をかけられた。


 無視した所、「Halt」と言われ肩をつかまれた。身分証明書を見せながら警察と名乗り「パスポートを見せろ」と言われた。周りを見ると他にも私服警官が同じような事をやっていた。やむなく、パスポートを見せる。賄賂こそ要求はされなかったものの、何となく後味が悪い。

 調べてみると、他の旅行者もこの街の鉄道駅で私服警官の職務質問に会っている様だった(当該ブログ参照)。


 恐らくEU側の要請によって、国境付近の不審者警備をウクライナは行わざるを得なかったのだろう。そういった事がEUからの補助金要件なのかもしれない。 


 現にシュンゲン条約でロシアと国境を接するエストニアやラトビアの国境警備では、ドイツからの最新鋭機器が提供されていると聞いている。(ネットではこんな情報が残っている)


 チェコとスロヴァキアに分裂した際に、ドイツがチェコとスロヴァキアの境界に最新鋭の監視装置を提供した事実はタジキスタンで亡くなった筑波大学の秋野先生の記事にも載っていた。 フィールドワーカーだった秋野先生の著書(
ユーラシアの世紀―民族の争乱と新たな国際システムの出現も面白い。北海道大学のスラブ研究所にある追悼HPなどもお勧めだ



 気を取り直して町外れの空港行きのバスを探す。 その系統番号のバス停を幾ら探しても見つからない。
「英語が出来るか?」と数人に問いかけても、老若男女とも首を振るばかりだ。

 「ゴー フォー スロヴァキア ボーダー?」と別の系統のマルシュルートカ(乗合バス)の運転手に大声で聞いて見るとこれもまた駄目だった。


 満員のバスの後ろから「スロヴァキア XY$!!」という声が上がった。何故か、乗客が「後ろの方に来い」と言う感じで手を引っ張る。

 どうやら、近くまでは行けるのかもしれない。キリル文字で地名位は読めるが、英語もドイツ語も通じないので、やれやれという感じである。

 バスはどうやら、国境の方に向かっているのは道路標示で判ったのだが、そのうち右折してしまい、自分の思惑とは違う方向に行きそうであった。 曲がり角でバスは停止し、隣の客が「降りろ、スロバキア XY$!!」と降りる事を促す。

 自分の座席の右側に何故か扉が付いており、インナーハンドルを引っ張ると空いて降りる事が出来る。日本なら「非常扉」の筈なのだが・・・
 
バスなのに乗用車の様なインナーハンドルが・・・

椅子の横にある扉、これって非常口では??


 隣の客達が指をさし「あっちがスロヴァキア XY$!!」と言う。 自分が見てきた地図と若干違うのだが、何か裏道でもあるのだろうか。 親切心から、彼らが「ここを曲がればスロバキア XY$!!」と言った感じで訴えている。

 狐に化かされた気持で歩いて行くと、確かに「スロヴァキア・・・」であった。


ウージュホロドのスロヴァキア「領事館」

 彼らは「スロヴァキア領事館」を案内しようとしていたのだった。

好意は有難かったのだが、遠回りになってしまった。

日曜日でもあり領事館職員に道案内をしてもらう訳にもいかないだろう。

印刷しておいた地図を改めて確認すると、国境とは違う方向に領事館が有った。

幸いにも、さほどずれてはいないので、国境に向かって心を入れ替えて歩く。


「六根清浄・・・」といつの間にか唱えている自分がいたのであった。

暫く歩いて行くと、国境方面の道に辿り着いたようだ。

右方に方向表示板を発見

国境方面にソ連製乗用車が向かう。経済格差を実感。

БРАTICЛАВА とあるのが BRATISLAVA

国境まで3km位の地点に居るようだが、荷物を軽くしておいて正解だった。

ルーマニア領事館

国境に向かう道にスロヴァキア領事館が無く、ルーマニア領事館が有るのは何故だろうか。


ド派手な教会?

 道すがら、温厚そうなおじいさんにニコニコしながら片言のドイツ語で話しかけられた。
「日本から来てスロバキアに向かう」と伝えると大きく頷いた。
ウクライナ語は全く判らない事を伝えても、嬉しかったようで何か話がしたいようでもあった。

 残念ながら、国境通過を急がねばならないので「私は直ぐに行かなければならない」と伝えると、何故か、手の甲にキスまでされてしまった。この地方独特のものなのだろうか。

「おじいさんも健康に気を付けて」と挨拶をして国境に向かう道を歩く。

予想外の連続で、なんとなく「ドラクエ」の主人公になったような気だ。

国境への道の木々の根元には白ペイント

国境へ向かう道はとてもまばらで、空港も本当に有るのか微妙な雰囲気。

空港と判る看板はこれだけだった

 しかし、正式名称はUzhhorod International Airport(国際空港)。滑走路の90m先は国境なので、離着陸の際は必ずスロヴァキア領上空を飛行するらしい。キエフ行きが発着していた筈なのだが、空港の公式URLが発見できなかった。


ブラスチラヴァまで515キロ

 国境に向かう道には、両替所があったり、休業中のレストランなどが点在。シュンゲンエリア内外を分ける物々しさは感じられなかった。

どうやらこの向こうに国境が有るらしい

道の先に、踏切の様なものを発見。国境にしては素朴すぎる・・・???

この時点で、その「踏切」で「まさか」という展開になるとは思わなかった。

なかなか厳しい「歩行禅」である。

(2014/05/19記)




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