2013年7月26日金曜日

歴史は繰り返す(ギリシャ編)

 倫敦はパディントンの駅前に旨いギリシャ料理の店が有る(通りの名前もLondon street!)。 

論文作成中、ちょっと気分転換に食べに出かけた。

 疲れた時ややる気が無くなった時は、各国料理を食べに行くのに限る。

ギリシャ料理とはいうものの、他国のメニューも何気にある事が多いので

心配もいらない。 

 旅行先でもギリシャ料理の店に寄る事がある。安くて旨い事が多い。

以前に訪問したドイツのザクセン州ツヴィッカウの旧市街にも旨いギリシャ料理屋が有った。

(Zwickau市役所HPより: Chemnitzの左方向にある)


今回は、印象に残っているこの店の事を書いてみたい。

ウェイターが愛想が良く、気前も良かったので印象的だった。

ギリシャのアルファベットで書かれたレストラン看板
 ダンスしている人たちが、ゆるーい



ツヴィッカウのトラム駅前にギリシャレストランが有る

実は普通の気動車がトラムに乗り入れてくるが、なんと国境を越えてチェコのカルロビバリまで走っている!「三線軌条」もありで鉄道ファンなら楽しい場所の筈。

食前に供された謎の酒、結構うまい


ビフテキ・ツヴィッカウ(?)風

 
ギリシャの美人画が描かれた室内


このツヴィッカウの店では、食前酒や食後酒が振る舞われた。 

 お勘定には独立した請求項目が無かったので、

其々のメニューが高めに設定されているのか、

或いは単にドンブリ勘定で経営しているのかは判らない。


 冒頭のパディントンの店は、頼みもしないのにフルーツ盛り合わせの

デザートが出てきたが、ウェイターに聞くと、「サービスです」との答え。 

テーブルチャージもないので、不思議に思った

有難い様な、不思議な経験だった。


先般訪れた、同じドイツのバイロイト(ワーグナー関係で有名な町)でも

町はずれにあるホテル兼ギリシャレストランンの昼定食が4ユーロ以下だった。

このあたりでは他の料理店でここまで安い例はあまりないだろう。

原価構成等はいったいどうなっているのだろうか。疑問が膨らむ。


 筆者が持っている、ギリシャのステレオタイプなイメージは、

古代建築、オリーブ、出稼ぎ、安くて旨いレストラン、ヨーグルトといったものだ。 
 
 ギリシャの人々には商才はあるのだろうが、組織化・工業化に成功した印象は薄い。


 何といっても2009年に発覚した、

過去の中道政権下による国家単位の粉飾の印象が強すぎる。

実質的な国家破たんに等しい状況は続いている。



 今回、オスマントルコ後の関係諸国の近代化について論文を書いている中で、

19世紀に、オスマン帝国から独立後のギリシャが債務危機に陥っていた事を知る。

歴史は繰り返したのだ。


 第二次大戦後も、共産政権と国王派の内戦が続いたり、

軍事クーデターが起こったりと冷戦下の西ヨーロッパの中でも

不安定な国家の一つであり続けた。



 ちなみにイギリスのエリザベス女王の夫君であるフィリップ (エディンバラ公)は

ギリシャ王家出身だが、エディンバラ公の父上のギリシャ国王は、

もとはと言えばデンマークの王子がギリシャに来て即位したものである。


 ギリシャだけでなく、オスマントルコが分裂して成立した

後継国家のルーマニア、ブルガリアでも、

国外のやんごとなき人(貴族・王族)を受け入れ王政が成立した。


 ことにギリシャでは長い歴史の中で、

西欧の貴族階級的な階級はとうの昔に無くなっていた。

 ギリシャ人同士では仲たがいしがちなので、

王家を外から持って来たほうが列強の関与を担保する理由付けになったり、

独裁が防げたりと何かと「実際的」だったのだろうか。



 ギリシャという国家単位では苦難の道を歩んでいるが、

庶民はしたたかに生きている。


「歴史は繰り返す」とすれば、これからも、

ギリシャに安定した国家が長期間成立する事は難しいだろう。

そして、庶民は統計に表れない所でもしぶとく生き延びる。


したたかな人類の歴史を体現する民族なのかもしれない。 

さすが、ヘロドトスを生んだギリシャ文明の末裔を自称する集団である。

そんな事を考えながら、ギリシャのワインを飲みほした夜だった。


「そんなに遊んでいるとギリシャの二の舞になるよ」と厳しい天の声が

聞こえてきたような・・・・さて、頑張らねば・・・

ギリシャ人のようにしぶとく生きよう!


(2013/07/25記)

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