そろそろ、学校も決まって準備開始する諸兄諸姉もいると思うので、参考までにロンドン大学の学生寮事情について記す (幾つかは知人から聞かれた事の回答)。
事情は、寮ごとに異なるであろうし、リノベーション等で改善される部分もある(かもしれない)ので、自ら関係先に直接、最新情報は確認して欲しい。
厳しいことも書いているが、「まず自らが解決する(丸投げしない)、必要に応じ、目的を絞って他者の力を借りる」スタンスで対処すればリスクを減らしつつ楽しく生活できる。
基本的に「見かけと中身」が違う事がままあるが、「性悪説(疑ってかかる)」に基づいて社会が運用されていることを考えれば、「そんなものか」と判る。
グローバル社会(古くは国際化社会)、多民族社会の場合は「性悪説」が原則。有識者や企業のトップが、昔から「日経ビジネス」あたりでしきりに「グローバル化対応」というのだが「性悪説」の原則をきちんと説明しないのが腑に落ちない。
「TOIECテストや英語公用語化」など表層的であって、高等教育ではまず「性悪説」に言及すべきだと考える。日本社会全体に「性悪説」を持ち込むと「コスト」高になり無用な混乱を招くリスクはある。いちいち「疑う」のは疲れる作業であり、日本古来の伝統とは相いれない部分があるだろう。 が、「性善説と性悪説のいいとこどり」はチャレンジングな課題と肝に銘ずべきだ。
さて、本題に戻る。
1.大学院専用の寮と学部生との混在の寮、どっちがいいの?
断然、大学院生専用を薦める。
イギリスの建物は壁一枚。
学部生のパーティーキッズと一緒に騒げるならそれもよしだが・・・・。
パーティーは毎晩、どこかでやっているから、必要に応じ出かければよい。お誘いもあちこちから来るだろう。
夜騒がしいと部屋で勉強も出来なければ寝にくい。
学部生が混在する、共同トイレ制の寮だと、見境ない若者が酔っ払って催す「何か」があったりするなどゲンナリすることもあるらしい。
騒音についてはどこの寮も一応、23時以降は静かにするようルールは統一されている。管理部門に相談したうえでクレームをつける事は可能(顛末は当該リンク参照)。 寮長を通じ静かにさせるよう促してからは殆ど問題が無くなったが、隣人とたまにあっても目も合わせようとしないのは仕方ない。
相手が異性だと直接、文句を言いに行くと相応のリスク(あらぬ誤解や思わぬ行動に相手が出る可能性がある)がありうるので、管理部門を通す方がベター。
壁一枚、薄いドア一枚で「音が外に漏れる」から犯罪抑止の効用もあるかも・・深読みのし過ぎかもしれないが・・・昔、リガのホテルにとまったときも同じで音が外に漏れる構造だった。KGBが別室で組織的に盗聴・監視していたと、ラトビアの占領博物館(The Museum of the Occupation of Latvia)に事実関係が展示されていた。
2.あいさつ
知らない人でも、同じフロアやエレベーターの人は目を合わせたらあいさつをしたほうがいい。「あいさつ」とは「敵でないこと」を知らせること。
同じ人に挨拶をしても、無視しつづけていれば、「社交性に問題あり」で「トラブル・メーカー」の可能性があるからチェックしたほうがよい。 高学歴になるほど、この手の常識に欠ける数が増えるのは、内外問わないのかもしれない。
会社や組織訪問では、内外問わず、来客や同僚同士で自然なあいさつ(無言の会釈等含め)をしない会社・組織は注意が必要。 基本的なコンセンサスが共有できていない証拠であり、余裕がなくコミュニケーションが滞っている証だ。 だからこそ、長期的な業績や事業内容に問題がありうる。痛快でも無いから長居する場所、でもないだろう。四季報など数値だけでなく、自分の目も信じよう。
「PCルーム」にどちらも備え付けであるが、スピードが遅く実用に堪えない。
安価なインクジェットプリンターか、スキャナ付きのモノクロレーザーを購入した方がストレスが無い。
学校(Birkbeck)のプリンタも鈍かったり、給紙トレイが空っぽだったりとイライラすることが多い(課金制でも有るにもかかわらず、だ)。
タイミングがあれば、Web等に載っている「帰国売り」で安く買う手も有りそうだが、相当旧式なものを売っているケースもあるので注意が必要だ。
イギリス社会では概して「共用」のものは「名目だけ」「性能がさえない」「「必要最低限」という「見かけ倒し」のケースがままあるので、スペック等まで含め、注意が必要だ。
4.二食付きの部屋と自炊対応のどっちがいいの?
二食付きの方が間違いなく効率はいい。 反面、夫婦やカップルで自炊部屋に住むなら安価かつ自分の好きなものが食せる。
「自炊対応出来る部屋かつ2食付きの契約」は無いようだ(自分の寮)。
二食付きの場合、寮での交友関係が増える。特に冬季は、「うつ」になりがちなので、心おきなく付き合える友人が周りにいた方が何かにつけ良いと思う。
5. 寮の食事は接取できる許容範囲か?
人にもよる。
朝夕ともフルーツ・ベジタリアンメニューが有るが、冷凍食品を多用。
朝(8:00-9:00)はいつも同じメニューの中から選ぶ。
夜(19:00-20:00)は野菜サラダやミックスベジタブルがある。
メインメニューやスープは「どうしたらこの味になるのか」という位バラツキがある。
土日朝は「ブランチ」(11:00-12:30)と称してアイテム数が増える
夜は一時間早まり(18:00-19:00)。勤務している人々のシフト対策か。
他留学生の2005-6年ごろのブログを参照したが、クオリティは変化なし。
6.その他、共用設備
各階に、共用の冷蔵庫(盗難が時々ある。酒は入れない方が無難)
や電子レンジ、アイロンがある。コインランドリー、乾燥機が地下にある。
7. 無線LANは飛んでる?
公共スペース(食堂、ロビー、自習室等)のみ有り。Eduroam:各学校でIDやパスワード要入手)。 各自室には有線LANのみ。
スマホ・タブレット持ちは、コンパクトな無線LANアダプターを日本から持参するか、PCを無線LAN化するフリーソフトが必須。
8.自転車
我が寮は置き場無し。目の前の公園の柵に括りつけている。
この街で自転車に乗るのは日本国内でママチャリ等の普通の自転車に乗ってる人にとって恐怖の一言。積極的にお勧めできない(詳細は自転車事情:参照)。日本でロードレーサー等でバンバン走ってる人なら気にならないだろうが。
自転車は現地でも購入できる。折りたたみの自転車もよく見かけるのは、バスにも持ち込めるからであろう。
万が一、第三者を巻き込んでしまった際の損害賠償に備えて、賠償責任保険が自転車事故に適用されるのかは確認したほうがよい。国内で付保しているものが海外で適用されないケースもある。
修理等の自己申告しても、まず1回では完治しない。1度目は適当な対処、二度目以降にまともな改善が始まる。位の感覚で前広に主張すべき。
買ったものが不良品の場合も多々あるから、レシートは取っておく(「返品が常識」参照)。
10.開講直前に入寮したほうがいいか?
語学力がバッチリで、イギリスの銀行口座を持っているならばOK。そうでなければ、早めに生活を始めた方がよい。
銀行口座をつくるのも時間がかかる。まずは開設手続きの時間を予約するところから始まる。バス割引になるオイスターカードなども同様。
長期の携帯電話開設の場合は、銀行口座が必要だが、トップアップ制の電話番号を、長期の契約にそのまま移行可(Vodafone.uk)。
長期契約はクレジットカードでは出来ない。電話会社によっては、一年以上前に開設された銀行口座でないとだめ(信用調査会社の与信情報に提供されないらしい)。留学生の場合は、デポジット(預け金)を要する場合もある。
要は、料金後払いは「取りはぐれ」リスクがあるので日本とは違う、ということだ。
11.お掃除・管理部門の立ち入り
平日毎日、ゴミを収集しに来る。2週間に一度、掃除してくれる
(この人たちはポーランド語を話していた)。
しきりに、小修繕工事や、各種テストなどで、管理部門の人が入ってくる。
メール等で予告は入るが、貴重品等は鍵がかかるトランクの中に入れる。
自殺や事故に巻き込まれないか確認する意味合いもあるのかもしれない。
ちなみに、寮に貼ってある「Burn out」というイギリス版「いのちの電話」の番号案内には英語と日本語で表記されていたりする(何でだ??)。
12.荷物の受け取りをやってくれる(2013/08/07追記)
日本のように、郵便局や宅配便が整備されている訳ではないから、
1軒家の場合、雨の日でも荷物を軒先に放り出す、といった事も.
あるらしい。追加料金を支払う特別便以外は「いつ来るかわからない」。
フラットシェアする場合には、この点に注意しよう。
アマゾンの場合は、スーパーにポストが設置されているのを見かけた事が有る
(Baywaterの傍のSpar)。
防犯の面でも、最初は寮の方が勝手が良いと思う。
13.キュートな女子、凛々しい男子がいるのか?
主観の問題だが、確かに各民族毎に、男女ごとに一定数、居る。但し既婚者でも一人部屋に住んでいる事もある。その点はFacebook等も含め確認した方がいい。年齢も非常に判りにくい。若いと思ったら、30代後半、それ以上であったり、その逆もしかり。日本語を自在に操る人も何気にいる。言葉巧みなものもいるだろう。
何をするのも、自己責任。でもイギリスの建物は、壁一枚なのはお忘れなく。
一軒家でも、アパートでもお店でも、商業ビル、はたまた工場でも「To let」という看板を見かける。 しかし、この青いドアには笑った。
このドアは住宅のものではなく、「工事用トイレ」のドア。
この近隣一体をリノベーションしている関係で、玄関ドアの前に仮設設置。
仮設トイレも、「レンタル制」のようで、宣伝も兼ねている。
・・・一石二鳥とジョークが好きなイギリスの国民性をうかがわせる。
でもわざわざ玄関に設置するっていうのもどうなんだろう・・・
見かけと中身の違いには充分注意が必要・・・・
(2013/03/19記)
3 件のコメント:
こんな記事もありました。いろいろ寮事情は複雑なんですね~~
http://nomuhisablt.blog69.fc2.com/blog-entry-78.html
まぽろんさん、毎日の生活の中でも気付くことがままあります。 アンテナを広げて、ネットの情報をうのみにせず、要所要所で直接確かめてください。 イギリスは、原則と例外があちこちに隠れています。
追記:
前職の時代に、後輩から「私は挨拶が苦手なので強要されても困る」と
言った事を言われた事があり「あいさつの意味、効用を考え、自分なりのやり方をかんがえてみてはどうか。 全員がはつらつと挨拶できるかは別だと思うが、誤解をうまないようにはしたほうがいいのではないか」と答えた記憶がある。
あいさつは「目下から目上に向かってする」というイメージがあるとすれば、あまり普遍性は無い(儒教的あるいはナチスのイメージだろうか)。
外交儀礼に乗っ取る場合などは様々に考慮すべきものがあるが、日常生活では「どちらでもからでもいい」と筆者は考えている。無論、無言で手を上げる、微笑みつつ、目でウインクする、色々バリエーションがある。
有る先輩は、私だけにナチス式敬礼にしていたが(笑)・・・前職では独裁者の様に見られていたのかもしれないだろうか・・・・海外でこれをやると、有罪になる場合もあるので、冗談でも止めた方がいいと思います(苦笑)
ともかくも、リーダーたるものは、挨拶を通じて相手のおかれた状況を考えた上で、次の言葉を発する訓練はしておいた方がいい様に思います。
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