2013年4月10日水曜日

放置するのがイギリス流

ロンドンの町並みは遠目に美しい所が多い。
電柱が地下に埋まっており、
多くの建物は同じ階数でそろっているからだろう。


この「すっきり感」に慣れてしまうと、日本の街を歩きたくなくなってしまう。

そして、それなりに交通安全にも気を使っているようだ


黄色い風船の様なものが交差点に立っている

このポールがあると「歩行者最優先」の交差点。
歩行者が渡ろうとする場合は車は必ず一時停止しなければならない。


信号には監視カメラ。

信号無視をすると映る仕組みで罰金確保に一役買っているかもしれない



 しかし、全面的に安全に優しい訳ではないのがイギリス流だ。

信号の無い交差点は、自動車優先

 特にタクシーはウインカーを付けずに曲がってくることがよく有る。

意地で、横断の邪魔をしているんじゃないか、と勘繰りたくなる。


歩道は相当に酷い(日本に比べ「イギリスが酷いな」と思うのは食事だけでない)。


 
 歩道に敷き詰めてあるタイルが浮いていたり、ぐらぐらしたりするのでこけそうになる事がしばしばある。

 雨が降るとその中に水がたまるので、うっかり「浮きタイル」に乗っかってしまい、両足に水がかかってしまい不愉快な思いをすることもある。


 
  この手の話は修繕されることなく、放置されっぱなしである。

外観から気がつきにくいので、運が悪いと諦めるしかない・・・・

浮き石ならぬ、浮きタイル

イギリス流で行けば、「直すコストは誰が払うの?」という

先般亡くなった、サッチャー元首相の声が聞こえてくるようだ。

彼ら流に言えば、「どうでもいいことは放置!」なのだ

危険は足下だけではない。

 工事現場の足場には、シートをかぶせていない事も多く

作業員は命綱を付けていないし、足場から資材を下に良く放っている。

こういった危険仕事には、移民が多く従事しているように見受けられる。

英語でない言葉もとびかっている。 
 
 

ありていにいうと、「万事が雑」なのだ。

お互いのビルを壁で支え合っていたりショボイ建物もたくさんある。



壁崩落を防ぐ知恵(?)

 地震が無いから問題はないのだろうが、あまり近寄りたくない景色だ(笑)

 筆者は、工事現場が見えたら、大回りして歩くことにしている。

何かに巻き込まれても、彼らに補償能力があるとは到底思えないからだ。


 道だけではなく、品質放置は、店舗には行っても同じだ。

  土産物屋でラッピングを頼むと、これでもかと言うぐらいに下手に包むので、「自分がやった方がまし」、とイギリス人の英語の先生が嘆いていた位だ(苦笑)

以前にも書いた(「返品が常識!」)ように、日常は「事後対応」である。

 
  その場の対応が多く、解決しても効果の小さい根本原因は放置するのがイギリス流だ。

但し、彼らの名誉のために、申し添えると

たいていは丁寧な口調で対応(オックスフォードやロンドン)はするので

あまり不愉快にはならなかった。

 権限を超えるモチベーションがないだけのことであり、社会全体が

「まっいいか、どうしてもダメなら交換すれば」という品質レベル要求なので、

一人ひとりにはさほど悪意がない

(失業の多い地帯はちょっとした瑕疵でも値段交渉に持ち込むなど
 別の様ですが、未確認)。

これを理解するのに暫く時間がかかった。


基本的に、日常レベルの瑣末な不便は出来る限り放置して、

やむなくなった時点で対応するのがイギリス流なのだ。


 これがドイツだったら、延々と自分の権利主張を述べ続ける人たちに

出くわしたりして不愉快な局面に陥ることさえあったりするのだが、

国情の違いを考えさえられる。

 

 そのかわり、戦争や諜報活動といった長期的・戦略的な事項に関しては、

周到すぎる、日本人の感覚からすると、あるいは

「そこまではやりすぎじゃないの?」 

ということまで徹底してやる欺瞞工作の例)。


その中に「ジョーク」が紛れ込ませてある辺りがイギリス流なのだが・・

MI6が求人を雑誌に載せているあたりも、半分はジョークに思われる。

過剰品質(だった)日本もどうか、と思うが・・・

これで日本よりも物価が高いのはどうなの、って気がする。


ショッピング意欲を失わせる脱力アイテムが揃っているし・・・

イギリスが「ぼったくり」、なのか、日本がダンピングし続けているのか?

歩きながら、そんなことを考える春の日々、

今日も知らない街の「浮きタイル」で危うくよろけそうになった・・・

そんな筆者をロンドンは、しらっと放置しているのであった。


ロンドンのミニ秋葉原(Tottenham court road)の電気屋さんの看板、懐かしいブランドが並ぶ、「COMPAQ」「JVC」「aiwa」「Technics」・・・・とうに無くなっているにもかかわらず、堂々と看板を出しているあたり、ここでも「放置するのがイギリス流?」

(2013/04/10記)

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2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

支えあっているビルの写真はびっくりです。
昔の日本でよくみられた『長屋』も、1つの家を取り壊したら隣の家が傾いたという話はよく聞きました。それも30年以上も前の話。

今も100年を超える建物が多い英国では致し方ないのでしょうか。それにしてもダイナミック(!)ですね。

Erich1970(エリック藤牧) さんのコメント...

 匿名様、コメント有難うございます。 イギリスにも「2軒長屋(Semi-Detached House)」というものがあり、構造的には1軒なのですが、2軒に分割利用している家があり簡単には壊せないが建設コストが安いものがたくさん建てられています。壁はレンガを積んでいるだけなので簡単に改装出来そうです。

 写真の建物は、恐らく柱に鉄骨が入っていない気がします。 気になって最近のビル建築の柱をチェックしています。一応鉄筋が数本は入っていますがH鋼のような鉄骨を確認できませんでした。地震が無い国とはいえちょっと驚いています。

 
建物の種類
http://www.news-digest.co.uk/news/life/uk-properties/8295-uk-house-flat-types.html