ハプスブルグの面影を求めて歩いていると、旧市街では町の作りもライフスタイルも、色濃くヨーロッパを感じる。
市街地の外れに続く路面電車の線路をたどると宮殿の様なものが見えてきた。
英語版Wikiによれば、アールヌーヴォー調の建築として1904年にオーストリア・ハンガリー帝国時代に建築されたということだ。
第二次大戦で被害を受けた後、再建するに当たり「スターリン様式」で復旧すべしという意見も出た。時の設計者は、内装をスターリン様式として外装はオリジナルのもので対処する、という折衷案を提示し、リノベーションが繰り返され今に至っている。
スターリン時代といえども、完全なロシア化を強行する事はウクライナ民族意識の強い当地では難しかった、という証左なのかもしれない。
暗いが広々とした待合室など構内は、ソビエト時代を想起させるものだった。人がごった返していたので、カメラを取り出すのは憚られた。
落書きも無く、ホームは日本のものよりも長くすっきりしていた。
ホームにはウッディなキヨスクや電話ボックスが有って、ロシアとの相違を感じる。
西ヨーロッパの標準軌(日本では新幹線)よりも広いので車両の幅も大柄。ただ、トイレは垂れ流しなので、余り近寄りたくない(苦笑)
このまま、どこかの町に汽車旅をしたい衝動をこらえて、駅を出た。
駅前から町の中心はトラムが走っているが、日本の車両と違い片方にしか運転台が付いていないので、大抵の場合、向きを変えるためのループ線が起終点にある。
交通の見張り用建物や後ろにある機関車工場の建物は、ソビエト時代の武骨な建物だ。
さて、最近のウクライナ事情で色々な方々が論評している。興味深い記事のリンクをいくつか。
欧露の貿易戦争で深い傷を負うのはロシア ウクライナ危機と西欧の苦悩
熊谷徹氏はドイツ在住のジャーナリスト。
混迷極めるウクライナ 「ロシア化」のドミノを恐れる欧米
コーカサス地域研究家の廣瀬陽子氏がリヴィウ(リヴォフはロシア語読み)について、「西欧に近い」と言及している。現在のウクライナ情勢についてバランス良い論評をしている。
リヴィウの治安情勢は細かくは判らないが、昨日、リヴィウのオペラハウスとメールのやり取りをする機会が有ったが、様々な政治的動向があっても演目は上演されているようだ。
最近、芦田均元外相の『革命前後のロシア (1958年)』という本を読了したが、革命のさなかでもバレエが上演されていた事が言及されていたので、ヨーロッパ社会とはこういうものなのか、と改めて実感する。
きっかけになった書評はForesight誌の2005年に掲載された「若き外交官補・芦田均による驚くべき記録と洞察」。
堅いエピソードも色々あるが、観劇の感想や市民生活、独身30歳の彼がロシア女性に言い寄られる描写などもさりげなく盛り込まれており、革命末期の混沌とした世情を生き生きと描いている。 外交官というよりも好奇心旺盛な青年作家という趣きだ。
ロシア人気質、というものを知るには良い一冊という印象を持った。大学の閉架図書に眠っているかもしれない。興味ある向きには一読を勧める。
クリミアで今起こっている事は、北方領土や尖閣列島と密接に関わってくるので注視が必要だ。もっと言えば、「沖縄が独立主張」という事態が近未来に起こった場合のアナロジーになるかもしれない。
リヴィフを訪れたのは、ハプスブルグの面影をたどったり、ウクライナ民族主義の震源地であることを知りたかった為だったのだが、数か月で様々な景色が変わっていく。
国際協調の時代から、オセロの様にように国境がひっくり返る「なんでもあり」の世界に向かっている時こそ、過去の事象や教訓を認識する必要が高まってくる。
(2014/03/21記)
市街地の外れに続く路面電車の線路をたどると宮殿の様なものが見えてきた。
大通りとトラムが向かう先は宮殿?
リヴィフ中央駅
第二次大戦で被害を受けた後、再建するに当たり「スターリン様式」で復旧すべしという意見も出た。時の設計者は、内装をスターリン様式として外装はオリジナルのもので対処する、という折衷案を提示し、リノベーションが繰り返され今に至っている。
スターリン時代といえども、完全なロシア化を強行する事はウクライナ民族意識の強い当地では難しかった、という証左なのかもしれない。
ゆったりとした表玄関
彫刻も飾られており、寺院の様な趣?
正面玄関にはアールヌーヴォー調の装飾がある駅名表示があり、華やかな時代を想起させる。
Львівリヴィーウ と書いてある
落書きも無く、ホームは日本のものよりも長くすっきりしていた。
ホームにはウッディなキヨスクや電話ボックスが有って、ロシアとの相違を感じる。
キヨスク
ウクライナ鉄道150周年のポスター、電話ボックス
写真をよく見ると、駅のエアコンは富士通製だ。こんな所に食い込んでいるとは知らなかった。というか、日本で富士通製のエアコンは見た事が無いのだが・・・・
一方で、車両はソビエト時代の面影を留めているものばかりだ
モスクワ行きの列車
機関車はシベリア鉄道の旅でも見かけたものだった。2M62という重連型で貨物列車を牽引。 日本で言えばDD51という位置付けになる汎用機種だ。
大陸間弾道ミサイル運搬用の派生機種も有ったようだ。
旧ソビエト製のディーゼル機関車
このまま、どこかの町に汽車旅をしたい衝動をこらえて、駅を出た。
駅前から町の中心はトラムが走っているが、日本の車両と違い片方にしか運転台が付いていないので、大抵の場合、向きを変えるためのループ線が起終点にある。
駅前のトラムのループ
交通の見張り用建物や後ろにある機関車工場の建物は、ソビエト時代の武骨な建物だ。
さて、最近のウクライナ事情で色々な方々が論評している。興味深い記事のリンクをいくつか。
欧露の貿易戦争で深い傷を負うのはロシア ウクライナ危機と西欧の苦悩
熊谷徹氏はドイツ在住のジャーナリスト。
混迷極めるウクライナ 「ロシア化」のドミノを恐れる欧米
コーカサス地域研究家の廣瀬陽子氏がリヴィウ(リヴォフはロシア語読み)について、「西欧に近い」と言及している。現在のウクライナ情勢についてバランス良い論評をしている。
リヴィウの治安情勢は細かくは判らないが、昨日、リヴィウのオペラハウスとメールのやり取りをする機会が有ったが、様々な政治的動向があっても演目は上演されているようだ。
最近、芦田均元外相の『革命前後のロシア (1958年)』という本を読了したが、革命のさなかでもバレエが上演されていた事が言及されていたので、ヨーロッパ社会とはこういうものなのか、と改めて実感する。
きっかけになった書評はForesight誌の2005年に掲載された「若き外交官補・芦田均による驚くべき記録と洞察」。
堅いエピソードも色々あるが、観劇の感想や市民生活、独身30歳の彼がロシア女性に言い寄られる描写などもさりげなく盛り込まれており、革命末期の混沌とした世情を生き生きと描いている。 外交官というよりも好奇心旺盛な青年作家という趣きだ。
ロシア人気質、というものを知るには良い一冊という印象を持った。大学の閉架図書に眠っているかもしれない。興味ある向きには一読を勧める。
クリミアで今起こっている事は、北方領土や尖閣列島と密接に関わってくるので注視が必要だ。もっと言えば、「沖縄が独立主張」という事態が近未来に起こった場合のアナロジーになるかもしれない。
リヴィフを訪れたのは、ハプスブルグの面影をたどったり、ウクライナ民族主義の震源地であることを知りたかった為だったのだが、数か月で様々な景色が変わっていく。
国際協調の時代から、オセロの様にように国境がひっくり返る「なんでもあり」の世界に向かっている時こそ、過去の事象や教訓を認識する必要が高まってくる。
(2014/03/21記)
0 件のコメント:
コメントを投稿