2013年6月24日月曜日

どことなくバブリーなCanary Wharf

 ロンドンはエリアごとに住む人種や階層が異なり、ひとくくりにできない。そんな光景を吹き飛ばすのが再開発だ。

ロンドンらしくない(?) 現代的オフィス街

 富を創出するには再開発が手っ取り早い(環境負荷への影響は別として)。特に古い建物をIT対応させるのはなかなか大変なことであろうから、新しく建てる方が理にかなう部分もあるだろう

ロンドン東部のCanary Wharfのような大規模なものもあれば、ヒースローエクスプレスの終着点Paddington周辺の小規模なものもあり、あちこちでスクラップビルドを繰り返している。


 Canary Wharfは港湾荷役場や倉庫街だったものをサッチャー政権下に都市再生し、金融関係のオフィスが集結しているエリアだ。

 
一つ一つの建物が異なったデザイン

街ゆく人々も颯爽としていて、雑然としたロンドン市内とは一線を画したエリアだ。 

金融機関や企業のオフィスが集結

エリア内のテナントを見ていると、どことなく80年代バブルのような雰囲気もどこか漂ってくる。もっとも熱狂感は無く、もっとクールではあるが。


「ゆりかもめ」みたいな「DLR」 


 再開発エリアの外れにある、Museum of London Docklands (入場無料) に行くと植民地貿易で財をなしたイギリスの栄枯盛衰をたどることが出来る。 隣接する幾つかの雰囲気のよいバーやレストランもお勧めだ。


お茶や香辛料のサンプルが置いてあり、種類当てクイズといった子供も大人も楽しめる内容の展示もあり、じっくり回ると2時間は所要する。

五感を駆使した展示がユニーク


 奴隷貿易による富の蓄積とその副産物である人種の多様性への言及についてかなりのスペースを割いており、国民統合の困難さを暗示した展示も見ごたえがある。

 第二次大戦中はこのエリアが重要拠点であったためドイツ軍の猛爆撃にさらされた(再開発をしやすくする素地になった)。 

テムズ川や海上に設置された対空砲座


また、古くからの住民を追い出した形となっているため、旧市民による反対運動や「街の葬式」が開催されたと、博物館には記録されている。 

「街の葬式」


 再開発エリアに、歴史の光と影をきちんと説明する博物館がある、というのがイギリスらしい。 六本木ヒルズなどの再開発についての歴史があまり人目に触れない日本とは対照的だ。

 自分たちが学んだり働いているエリアの歴史に思いをはせてみるのも案外重要かもしれない。特に災害時には、古の知恵が生きる可能性が有る。

 例えば「窪」「久保」「沢」などが地名にあれば、水がたまりやすい地名。 その昔、六本木ヒルズのあたりを「麻布北日ヶ窪」といっていた。 それが故に土地の起伏を変えてまで地盤強化する必要があった筈だ。

 Canary Wharfもテムズに面している。地球温暖化で水面上昇が起こるとどうなるのかな、と思うくらい立体的に土地を活用しているエリアだ。

 いずれにせよ、土地の成り立ちを知る事は少し長くその地に住む場合のは欠かせないプロセスだと思われる。

 


 中心となるカナダスクエアでは、Lotusの新車展示が行われていた。

 このエリアには常設のポルシェのショールームもある。 

 金融機関のボーナスが良い時は、即金で買った時代もあったかもしれない。

「またバブルよ来い!」という人々の願望をこの場で感じたのは気のせいだろうか・・・

(2013/06/24記)




 

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